社会福祉法人県西会は、特別養護老人ホームさつき荘の開設以来、40年以上にわたり高齢者福祉のために努力してまいりました。この間に、高齢者福祉についての考え方は大きく変化しました。介護保険が導入され、自己責任の思考が高齢者福祉についても求められるようになりました。施設入居者には一層の自己負担が求められ、高齢者福祉施設には財政的な自立が求められています。このような時代の流れの中で、在宅介護の方向が推進されています。特別養護老人ホームは重度の介護を必要とする高齢者への対応が求められ、入居者の介護度は今後更に高くなることが予想されます。重度の介護を必要とする入居者の人間としての尊厳を守り、その終章をできるだけ満足のゆくものにする介護を実施するためには、それを可能にする施設が必要です。このような環境の変化に対応し、入居者とその家族に納得してもらえるサービスを提供し、今後も高齢者福祉に貢献し続けることができるようにするために、さつき荘を建て替えました。
国は、老人の介護のための施設における望ましい介護の形態として、ユニットケアを推奨しています。その考え方の根本には、介護が必要になっても出来るだけそれまでの家庭における普通の生活を施設においても継続できるようにすることが入居者に良い結果をもたらすという判断があります。居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うということです。
ユニットケアを行うためには、そのためのハードウェアが必要です。そのために、入居者が占有できる個人的な空間として個室が用意され、個室の近くに他の一定の入居者と共有する空間として共同生活室が設けられます。さつき荘は、このような条件を満たす施設です。